園長たより 令和6年8月号【母の背中は天国】

母の背中は天国!
~「ママがいい」は、当然のこと~

日本に限らず世界規模でみても高温傾向が続いており、まさに猛暑の夏です。疲れの溜まりやすい季節ですが、元気にこの夏を乗り切ってほしいと思っています。ただ子どもたちはいつものように明るい笑顔を振りまき、活発に活動しており、そのエネルギッシュな姿に驚かされています。昨今は、保育園に関する暗い報道が多く、あまりいいニュースが耳に入ってきませんが、そん中でも、私たち職員はこの明るく元気な子どもたちが安心・安全に、しかも楽しく過ごせるような保育園づくりを目指しながら取組を進めていきたいと考えています。

児童文学者として著名な新美南吉は、「天国」というタイトルの次のような詩を残しています。いくら時代が進み、変化しても変わらないものがあります。年を重ねた私でさえも、不思議と母の背中の温もりは覚えています。それは、理屈を超えたものであり、言葉ではなかなか説明できないものです。しかし、確実に記憶には刻まれています。

おかあさんたちは
みんなひとつの、
天国をもっています。
どのおかあさんももっています。
それはやさしい背中です。
どのおかあさんの背中でも
赤ちゃんが
眠ったことがありました。
背中は
あっちこっちにゆれました。
子どもたちは
おかあさんの背中を
ほんとうの天国だと
おもっていました。
おかあさんたちは
みんなひとつの、
天国をもっています。
入園当初のお子さんは、玄関で「ママがいい」( 時には「パパがいい」)と言い、入室までに時間が 掛かる場合があります。考えてみれば、それは当然 の反応であり、子どもにとっては、親や家族の側が 一番居心地がいいのは当たり前のことだからです。 私はいつも微笑ましい光景として見つめています。
時間の長短はありますが、子どもには順応性・柔軟性がありますので、園の雰囲気や周りの子どもたちとの関係もつかめるようになり、次第に集団の一員として馴染んでいきます。初めて見知らぬ集団に入るのは、子どもにとっては大変な冒険であり、大人以上にストレスになっていると思います。

園長便り8月号写真初めて未知の世界を経験する子どもたちをできるだけ温かい雰囲気で迎えるために、職員も様々な工夫を凝らしているつもりですが、これからもさらに工夫していく必要があると考えています。

そのためにも、保護者の方々との情報共有とより一層の連携が必要になると考えています。子どもたちは日々変容し、成長していく存在です。普段の連絡帳での細やかな情報や送迎の際の保護者等との何気ない会話が、私たち職員には非常に役に立つことがあります。お互いに忙しい毎日ですが、ちょっとした情報でも結構ですので、お知らせくださると助かります。

子どもたちにとって、自分のやりたいことに挑戦し、安心して次のステップに進むためには、母の背中のような安心できる居場所があるということはとても重要なことです。私は、講演を依頼された際に、よく「家庭を最高の居場所に」ということを伝えるようにしています。できれば保育園がその母の背中のような安心できる居場所の一つになればと願っています。

園 長 中 村 洋 志