園長だより令和8年2月号【便利な褒め言葉の落とし穴!】

便利な褒め言葉の落とし穴!
~褒めて育てることが基本ではあるが~

 あっという間に2月を迎えました。本年度も残り僅かとなりましたが、やがて来る春を楽しみに待ちたいと思います。よく「2月は逃げる」とも言われます。過ぎていく一日をただ何となく過ごすのではなく、少しでも意味あるものにしていくためにも、子どもたちとの触れ合いの時間を大切にしていきたいと考えています。その中で、それぞれの子どもたちに内在する「よさ」に気づき、それを認め、出来れば褒めながら伸ばしていければと考えています。


人は老若男女を問わず、褒められれば嬉しいものです。私もよく「子育てのコツは褒めることである」という話をしますし,それは間違いではないと確信しています。しかし、ただ安易に褒めればいいというものではないようです。 私たち(親や保育者等)がよく使う褒め言葉は、「いい子ね」・「上手ね」・「よく頑張ったね」であるというアンケート結果を目にしたことがあります。時には、それに「超」を付けて、「超かわいい」等の言葉が出ることさえあります。実は、この言葉を使わずに、子どもたちを褒めることができるかが、「子育ての鍵」になるとも言われています。例えば、「いい子」は、「親や保育者にとって都合のいい子」や「従順で管理しやすい子」を指すことがあります。また、大人から見て「上手にできたこと」のみに評価の力点が置かれると、失敗することをを恐れ、挑戦しようとする心や冒険心が育ちにくい「萎縮した子」を育ててしまうという指摘もあります。さらに、「頑張ったという結果」だけを褒められると、頑張れなかった自分を努力が足りなかったと責めたり、逆に頑張り過ぎて息切れしたりすることがあるとも言われています。「超かわいい」も、見た目、つまり容姿のことであったり、着ている洋服のことであったりと、本人の人間性とは無関係なことであることが多いのも事実です。見え透いた褒め言葉は逆効果ですし、便利な褒め言葉にも落とし穴があることにも留意する必要がありそうです。


親や保育者等の前では、従順ないい子であった子がストレスを発散するために、予想もつかない行動に出ることも、よく耳にします。大切なことは、具体的な行動や行為を、具体的な言葉で褒めることだと多くの識者が指摘しています。「お手伝いをしてくれたから、お父さん(お母さん)は嬉しいよ。」とか、「今日は上手くいかなかったけど、そんな○○ちゃんも大好きだよ。」などと褒められた方が効果的であることが、心理学的な観点からも裏付けられています。最初に例示したような褒め言葉は,絶対使ってはいけない言葉ではありませんが,安易に使うと、子どもを上手に伸ばすことには繋がりにくいと言われています。「反抗してくれてありがとう。」という類の言葉が掛けられる余裕がありますか。私自身の子育ての反省も含めて、まず、自らの「褒め言葉のレパートリーを増やす努力」も必要ではないかと考えています。それは、子どもたちと真正面から向き合うことから始まるのではないでしょうか。


私たちの最終目標は、あくまでも子どもたちの中に「自立心」や「主体性」を育むことです。子どもたちの「自立心」や「主体性」を育む活動は,様々な場面で生まれます。幼児期の経験が人生を左右するような経験として活きることもあります。「否定や禁止」ではなく、「のびのびと活動」させるような言葉掛けや場づくりが保証されないと、「自立心」や「主体性」を育むことには繋がりにくいと考えています。「自立心」や「主体性」を育むためにも、その子のよさを認め・励ます必要があります。子どもたちの健やかな成長に期待しながら・・・。

園長 中村 洋志