園長だより令和7年11月号【復元力の育成!】
子どもの発達の証!
~何度倒れても立ち上がる力を育む~
確かに朝夕の風に変化があり、確実に季節は動いてるように感じています。この過ごしやすい季節に、子どもたちの動きはさらに活発になり、心身ともに成長を続けています。保育園は、様々な個性を持つ子どもたちの集団での生活ですので、必ずしも自分の思い通りならない場面に遭遇し、小さなトラブルが起きることもあり、悔しい思いをすることもあります。しかし、その経験は子どもたちの成長にとって、ある面では成長に必要な糧になることもあります。
リンカーン元アメリカ大統領は、「あなたが転んでしまったことに関心はない。そこらか立ち上がることに関心があるのだ。」という言葉を残しています。あのリンカーン元アメリカ大統領でさえも順風満帆の人生を歩んできたのではなかったと聞いています。この言葉は彼の凄まじい体験の中から生まれてきた言葉だと思います。私も時折県内外で講演を依頼されることがありますが、保護者や子どもたち等へのメッセージとして、{負けない力ではなく、何度倒れても立ち上がる力を育みたい。}という思いを伝えるようにしています。
つまり、子どもたつに内在する「復元力」を育みたいからです。人生が平坦な道ばかりで成功体験ばかりで彩られればいいのですが、人生はある意味では挫折や失敗の連続であるといっても過言ではありません。しかし、自らの夢に向かって何度か挑戦するうちに成功体験を味わい、人として成長していく側面もあります。
これは子どもたちに限った話ではなく、大人にも通じる話のようです。
人間には復元力があるのです。福井大学子どものこころ発達センター、発達支援センター研究室相田明美教授は、様々な患者さん等との交流を通して、「いくら年を重ねても癒されない傷はない。脳は回復する。」(キーワードは認める・褒める)と言っています。これは単なる思いではなく、実証実験を通して医学的・科学的に分析し、積み重ねられた研究成果であります。人には復元力があるのです。ましてや、子どもたちに内在する能力は誰も測定できないほど可能性を秘めています。少なくとも私は、今まで出会ってきた子どもたちと接してきてそのことを心から信じています。
かといって、子どもたちに意図的に失敗や挫折等のマイナス体験をさせることを推奨している訳ではありません。一回も失敗や挫折をしない楽しい人生が送られればそれにこしたことはありませんが、残念ながらそんな平坦な道ばかりが用意されている人生は皆無です。予測もつかないこれから先の時代を生きていく子どもたちが、暮らしやすい世の中が到来することを祈るばかりですが、万一困難な状況に遭遇した際に乗り越えていく力の基礎を培うができれば、私たち職員も子どもたちに出会った意味があると考えています。まさしく保育園での出会いは「偶然の出会い」ですが、やがて「必然の出会い」だったと思えるような瞬間があれば、私たちは本当に幸せです。
園長 中村 洋志






