園長だより令和8年11月号【子育ては、一度限りで独自なもの!】

子育ては、一度限りで独自なもの!
~「賀久(かく)はつ」さんの教えに学ぶ~

 市内に住んでいても、周りの木々が秋の深まりを知らせてくれます。誰が教える訳でもないのに、もちろん人間のためでもないのですが、自然は季節の変化を敏感に反映し、毎年私たちを楽しませてくれます。子どもどもたちもそれに負けないかのように、季節の移り変わりがある度に様々な色(個性)を輝かせながら、大人の何倍ものスピードで変容(成長)していきます。職員一同、微力ながら、いつもその現場に立ち会えていることの幸せを感じています。


かなり以前のことになりますが、神の手を持つと言われていた、元むなかた助産院院長・福岡県いのちを守る会代表の「賀久はつ」さん(現在は引退され岡山市に在住)の話を伺う機会がありました。その中で,自らの助産師としての豊富な経験に基づいた、印象に残る話を伺いましたので、そのいくつかを紹介いたします。
(1) すべてのいのちは、無条件に愛と責任で迎え、自立をさせて、世にお返しする。
(2) 子は、親が育てたように育ち、親が生きたように生きる。
(3) 母の匂いと味を身に付けた子は、遠く離れていても困難にも耐え得る。
(4) 自律を阻む4つの過剰
(ものの与え過ぎ、手の貸し過ぎ、指示のし過ぎ、何でも許し過ぎ)
(5) 子育ては、一度限りで独自なもの
(子どもの未来像を考えて、信じて待つこと、祈ること)
(6) 人は、次の世代のために生きる。

これは,出産という「いのちの現場」から生まれた言葉ではありますが,保育園に携わる者や保護者等の子育て通じる理念であり、哲学であるような気がします。子どもの将来を見据えて、「待つ」ことのできる保育ができれば最高です。「子育ては、一度限りで独自なもの(子どもの未来像を考えて、信じて待つこと、祈ること)」とか「人は、次の世代のために生きる」という言葉が印象に残っています。また、「子は、親が育てたように育ち、親が生きたように生きる」は、自己を振り返る際の大切な視点でもあります。そして、「母の匂いと味を身に付けた子は、遠く離れていても困難にも耐え得る」という言葉は、生前、母親に何の貢献もできなかった自らを戒める教えにも聞こえます。


彼女は、4300人もの命を迎えたと言われています。当然のことながら同じ命は一つもありません。そして、当たり前のことですが、これから先も同じ命が生まれることもありません。だから、「子育ては、一度限りで独自なものなのです。粗末にしてもいい命は一つもありません。「自他の命と尊厳を守る」ことが、私たち大人の最大の責任だと思います。今日も、屈託のない笑顔をふりまいて活動している姿や、イヤイヤ期真っ只中で自己主張している園児の様子を見ながら楽しく過ごしています


園長 中村 洋志