園長だより 令和4年8月号
子どもを伸ばすコツ! ~教える・褒める・叱るのバランス~
まさに夏真っ盛りの暑い日が続いていますがいかがお過ごしでしょうか。そんな中でも、子どもたちは相変わらずエネルギッシュに過ごしています。保育園では、様々な個性の子どもたちが一緒に活動しますので、小さなトラブルが起きたり、大人の思う通りに動いてくれない場面もあります。しかし、その一つ一つが子どもたちには貴重な経験になっていきます。私たち職員もそれぞれの個性を大切に伸ばしながらも、自分以外の友達も一緒に過ごしていることを踏まえ、他者への配慮も必要な場合があることを年齢に応じて気付かせていけるような取組を進めています。一朝一夕には成果の見えにくい気の長い取組ですが、子どもたちにとって「喜んで登園し、満足して降園」出来るような園づくりをめざしたいと考えています。
子育ての中で、保護者の方々もそんな経験があるのではないかと思いますが、保育士や職員も悩むのが、「教える・褒める・叱る」のバランスを取ることの難しさです。子どもを伸ばすコツに唯一絶対の正解というものはありませんが、我が国には昔から、「三つ叱って、五つ褒め、七つ教えて子は育つ」という教えがあります。大人の価値を一方的に教え込んだり、ただ何となく褒めたり、むやみやたらに叱ったりするだけでは、子どもたちは健やかに育っていかないという先人の教えだと思います。二宮尊徳も、「可愛くば、五つ教えて、三つ褒め、二つ叱って良き人とせよ」と説いています。「教える・褒める・叱る」のバランスの取り方を示唆した教えだと受け止めています。子どもの発達状況や年齢等にもよりますが、子育てをしていく上で参考になる教えではないでしょうか。
いずれの教えも、子どもたちの言動を否定的ではなく、できるだけ自己肯定感を醸成するような取組をすることがその子に内在するよさを引き出し、伸ばすことになるという教えではないでしょうか。このことは、心理学的にも実証されています。その時の感情にまかせて子どもに対応するのではなく、また、その子の悪い面だけに着目して注意するのではなく、自らの子どもの頃を思い出す余裕があれば、その子のよさにも気づき、冷静に受け止めることができるのではないでしょうか。これは、子どもを甘やかすという意味ではなく、一人一人の子どもが持つ尊厳を尊重するということです。自らの拙い経験からも、このことを確信しています。
生きていく間には、様々なことに遭遇します。望む望まないにかかわらず、成長するにつれ他者と比較されたり、時には否定されたり、自己嫌悪に陥ったりすることもあります。しかし、そんな時、誰がなんと言おうと「自分は生きる価値がある存在だ。」とか「きっと明日は今日よりもいいことがある筈だ。」とか、前向きに生きていけるような経験をすることができれば自分らしく生きていくことができます。保育園が、そんな力の基礎を培う場になればと願っています。子どもたちのエネルギッシュな姿を見ていると、どの子もそんな力を備える準備をしているのだと思えてきます。
園 長 中 村 洋 志