園長だより 令和4年11月号

好きこそものの上手なれ!  ~上手くなりたいという気持ち~ 

 身の回りの空気も秋の深まりを感じる季節になりました。まさに「食欲の秋」「読書の秋」「スポーツの秋」「芸術の秋」等の言葉が相応しい絶好の季節です。子どもたちにとって、大きな成長の月になることを願っています。

 「好きこそものの上手なれ」という教えがあります。この言葉を思い出したのは、9月8日<木>の中日ドラゴンズのプロ野球選手福留孝介(本県大崎町出身)さんの引退会見のインタビューに対する答が思い浮かんだからです。正確にはメモできませんでしたが、彼は「単純に野球が好きだということ。僕はそれだと思います。何をしても楽しかった。上手くなったから楽しいのではなく、上手くなりたいという気持ちを持って野球をやってきたのが楽しかった。」と答えたと記憶しています。プロ野球選手として日米で活躍した満足感もあったのかもしれません。非常に印象深い言葉でした。何か熱中出来るものがあれば、自分なりに満足できる成果を上げることが出来るというメッセージが内包されているように感じました。

 ここで注目したいのは、「上手くなったから楽しいのではなく、上手くなりたいという気持ちを持って野球をやってきたのが楽しかった。」という言葉です。ややもすると、結果だけに注目してしまい、上手くなりたいという気持ちやその途中での努力には関心が向かないことがありますが、目標に向かって努力し続ける姿勢こそがその人の成長を支えているのかもしれません。子どもたちも、大人から見れば何とも思わないようなことに熱中したり、道路に落ちている石ころのようなものを集めることに夢中になったりすることがあります。そのうち、興味の対象は年齢と共に移り変わることになることが多いのですが、その時々で何か熱中出来るものがあるということは、素晴らしいことだと思います。好奇心こそ子どもたちを成長に導く電動力になることが多いからです。

 また、南九州市教育長時代に、南九州市知覧町のご出身ということで、青色発光ダイオードの発明でノーベル物理学賞を受賞された故赤崎勇先生にお会いする機会がありました。先生は、南九州の豊かな自然の中で、無我夢中で野山を駆け巡ったり、川で石ころを集めたりして過ごした幼少期の経験が知的好奇心を育み、後の研究を支える礎になったという趣旨の話をしてくださいました。幼少期の経験が人生を支えることもあるという興味深いエピソードとして、今でも印象に残っています。幼少期の経験だからこそ深く心の奥底に刻まれているのかもしれません。

 子どもたちは、今日も様々なことに興味を持ち、飽きることなく活発に活動しています。このエネルギーは、どこから生まれてくるのでしょうか。このエネルギーこそが、子どもたちが成長していく源のような気がします。何かに熱中出来るものがあるということは、それだけでも素晴らしいことです。私たち大人は、その興味関心が子どもたちの心身の成長に繋がるような環境づくりをしていくことだと思います。難しい課題ですが、私たち職員も保護者の方々と連携しながら、子どもたちの成長を見守りたいと考えています。

園 長  中 村 洋 志