園長たより令和7年1月号【 今の賢さよりも努力の過程を!】

今の賢さよりも努力の過程を!
~褒めることの意味を考える~

令和7年度がスタートしました。新年あけましておめでとうございます。願わくば、今年が、子どもたちやご家族、我が国及び世界の人々にとりまして安心して暮らせる平和な世の中になることを祈るばかりです。どんな時代になろうとも、子どもたちにはこれから先の時代を逞しく生き抜いていってほしいと祈るばかりですが、子どもたちが生きていく時代は、子どもたちの明るい笑顔が消えるようなことがない世の中になることを心から切望しています。


さて、様々な研究機関の調査で、子どもたちは「褒められる」ことにより、自らの行動に自信が付き、意欲が湧き、その結果もいい方向に伸びていくという報告を目にすることがあります。私たち大人であっても、明らかに見え透いた褒め言葉は別にして、褒められて気分の悪くなる人はほとんどいません。しかし、どんな状況でも悪いことは悪いと叱責したり、間違ったことを指摘したりすることなく、ただ褒め続ければいいという単純な話ではありません。人格を否定したり、人権を無視してするうな行為については、大人として毅然として対応していく必要があることは当然のことです。


ある調査で、「賢さを褒めれれたグループ」と「努力している過程を褒められたグループ」とでは、伸び具合に差が出たという結果が示されたことがあります。あるテストをして、「賢さを褒めれれたグループ」は、「自分よりも出来が悪かった人」と自分を比較することで、「自尊心が高まった」と答えています。一方、「努力している過程を褒められたグループ」は、「自分よりも出来が良かった人」と自分を比較し、「失敗したことを理解し、失敗から学び、よりよい方法を編み出したい」と考える人が多かったという結果が示されました。興味深い結果です。そこで、再度、最初したテストと同じぐらいの難易度のテストを行ったところ、「努力している過程をほめられたグループ」は、テストの結果が有意に上昇し、平均スコアが30%伸びたとのことです。彼らは、最初は失敗しても、挑戦することを選択したので、よりよい結果が出たのです。一方、「賢さ(主に点数)をほめられたグループ」は、前回から20%近くも低下したとのことです。彼らが、「間違いから学ぶ」という経験を軽視したためではないかと推測されています。点数がよかった等の「賢さだけ}をほめることの問題は、「間違いや失敗から学ぶ」という最も有益な学習活動を避けてしまうからではないかと言われています。間違ったり、失敗したりすることによって生じる「不愉快な経験」が、「同じ間違いをおかさず、自らを成長させる機会」になるという指摘もあります。


ややもすると、私たちは「点数という結果」のみに目が向き過ぎて、「努力の過程」を評価しないことがあります。子どもたちが巣立っていく長い将来のことを考え、今一度、「今の賢さよりも努力している過程をほめる」ことにより、子どもたちのやる気を継続させていくことの大切さを認識する必要がありそうです。子どもたちは、今から私たちの何倍もの長い人生を生きていく存在です。「単なる結果だけでなく、子どもたちが頑張り続けている過程」にも関心を持ち、子どもたちを認め、励ましていただきたいと切望しています。今年一年が、すべての子どもたち・ご家族にとりまして、充実した一年になりことを心から祈念いたします。