園長たより令和6年11月号【子どもたちの将来に期待】
子どもたちの将来に期待!
~能力のある人間はいつの時代もいる~
温暖化の影響か平年より気温の高い日が続いていましたが、やっと秋の深まりを感じる季節になったような気がします。子どもたちの明るい笑顔と歓声は、(時には泣き声も)季節を問わず保育園を包み込んでいて、私たち職員の心を和ませてくれます。この圧倒的なエネルギーはどこから生まれてくるのだろうと不思議に思うことがありますが、この子どもたちの将来に期待せずにはおられません。子どもたちは、これからどんな未来を生きていくのでしょうか
そんな子どもたちに関する様々なニュースが飛び込んできます。心が温かくなるほっこりするニュースもありますが、必ずしもそうでない報道も数多く見受けられ、心を痛めることがあります。ただ、今、起こっている事象のほとんどが「最近の子どもたちは」という言葉に代表されるように、あたかも子どもたちだけに起因するかのような論調に出合うことがあります。果たしてそうでしょうか。子どもたちの言動は、大人の社会の反映でもあります。その意味においては、私たち大人の接し方や言動等の方が問われているのではないかと考えることもあります。
子どもたち、特に青少年の問題行動がよく話題になります。
問題行動を起こす原因には、様々な要因が複雑に絡んでおり、一つだけを特定することは難しいことです。子どもたちは、基本的な生活習慣はもちろん、生活していく上で必要な技能、豊かな情操、他人を思いやる心や善悪の判断等の倫理観、自立心や自制心、社会生活を営んでいく上でのマナー等を、家庭・保育園・幼稚園や学校、地域社会を中心に、様々な出会いの中で学んでいきます。
良くも悪くも、ほぼ毎日のように接している親や保育士・教師等は、子どもたちにとっては、そのよき「モデル」になる必要があります。いい親(保育士・教師等)であるかどうかの判断は難しいことですが、いい親(保育士・教師等)になろうと努力することは、「今」 からでもできます。子どもたちは、いい親(保育士・教師等)を尊敬するのはもちろんのことでですが、いい親(保育士・教師等)になろうと努力する親(保育士・教師等)をそれ以上に尊敬すると聞いたことがあります。子どもたちは、「大人の言う通りするのではなく、する通りにする存在」だからです。いわゆる立派な生き方をする大人を求めているのではなく、自分らしい歩みで、自分らしい生き方をしている大人の姿を真似て成長していくのだと思っています。
「ローマ人の物語」の著者、塩野七生さんは、「才能ある人間が少なくなったから国が滅ぶのではなく、才能ある人間を活用するメカニズムが機能しなくなったから滅ぶということだ。能力のある人間は、いつの時代もいる。」と述べています。将来を担うのは、まぎれもなく今目に前にいる子どもたちです。今の子どもたちの将来に期待したいと思います。私たち職員も、少しでもよき「モデル」となりたいと願っています。子どもたちにとっては、「自分を必要としている人がいる」、これだけで力になります。一番身近にいる親や友人、保育士や教師、地域の方々等がいるという安心感が、子どもたちの成長の糧となるからです。私たちの保育園が、その一翼を担うことができれば、それが一番幸せなことです。
園長 中村 洋志